所得税

被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例

所得税 2024.9.13更新

被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例

残暑も和らぐ季節となりましたが、いかがお過ごしでしょうか。

本欄では、顧問の皆様に、難解な税金を、分かり易くご説明していきたいと思っております。

最初は、今年の確定申告で、検討時間を最も費やした特例の紹介です。

私の備忘も兼ねております。


(1)  被相続人の自宅を売却した時の3,000万円の特例とは

相続等により取得した被相続人の居住用家屋等を売って、一定の要件に当てはまるときは、譲渡所得の金額から最高3,000万円が控除できる特例です。

 

(2)  自宅に母屋と離れがある場合は、要注意

広いご自宅に、母屋と離れがある方は、要注意です。

3,000万円で売却しても、3,000万円全てが控除できるわけではなく、税金0円にはなりません。

このような場合、相続前でしたら対策できます。是非、事前にご相談ください。


(3)  売却代金1億円超でも控除できるケース

さて、検討に時間を費やしたのは、ここからです。

この3,000万円特例を使うには、いくつかの要件があります。

その要件の1つに「売却代金が1億円以下であること」があります。

しかし、1億円を超えても適用できるケースがあります。

自宅敷地の一部を月極駐車場として賃貸している場合などです。


(4)  取得費加算の特例との併用適用はできない

また、この3,000万円特例は、「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」との併用はできません。

しかし、上記のケースで、月極駐車場の部分には、「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」が適用できます。


参考資料:

 No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例|国税庁 (nta.go.jp)

 No.3267 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例|国税庁 (nta.go.jp)

根拠法令等:

 所法33、措法35、措令20323、措規182

 所法3338、措法39、措令2516、措規1818、措通39-12