相続があった場合の消費税の納税義務
消費税 2024.9.27更新
(1) 相続後の消費税の納税義務の判定
相続があった場合の消費税の納税義務は、大変複雑です。
消費税の納税義務は、2年前(基準期間)の課税売上高が1,000万円以下なら免除されます。
「相続があった場合の納税義務の免除の特例」に規定する「被相続人の事業を承継したとき」とは、相続により事業を承継した場合で、遺産分割協議書により相続したときです。
特定遺贈等により事業を承継した場合は、受遺者のみで判定します。
遺言書で特定遺贈している場合は、被相続人の基準期間の課税売上高は考慮しなくてもよいです。
遺言書を作成すると、節税につながりますね。
(2)
相続があった年(1年目)
被相続人の基準期間の課税売上高のみで納税義務を判定します。
①
被相続人・相続人とも免税事業者の場合 免税事業者
②
被相続人が課税事業者・相続人が免税事業者の場合 課税事業者(相続開始日の翌日~12/31)
③
被相続人が免税事業者・相続人が課税事業者の場合 課税事業者(1/1~12/31)
(3)
相続かあった年の翌年・翌々年(2年目・3年目)
「被相続人の基準期間の課税売上高+相続人の基準期間の課税売上高」で判定します。
(4)
簡易課税制度
簡易課税は、相続で引き継ぎません。
また、事前届出制ですが、次のケースでは、相続があった年の12/31までに届出をすれば、相続があった年から簡易課税が適用できます。
①
相続により相続人が事業を開始した場合
②
被相続人が簡易課税制度を選択していた+相続人が免税事業者
なお、簡易課税の判定基準は、相続人のみの基準期間の課税売上高が5,000万円以下であることです。
(5)
インボイス制度
被相続人の登録番号は、引き継ぐことができません。
相続人が免税事業者の場合、最長4ヶ月は、被相続人の登録番号が引き継ぐことができます。
相続開始日の翌日~4ヶ月を経過する日
このみなし登録期間に、相続人は、インボイスの登録申請をしましょう。
根拠法令
消費税法10、消基通1-5-1、1-5-3、1-5-4、13-1-3の2